他でもない自分のために生きよう

ストーリー

ビルの隙間から青い空が見えていました。

空が高く雲がもくもくとした夏の日。
アスファルトから跳ね返る日差しに、汗が吹き出していました。

その日
私は新卒で入ったホテルを去りました。
たった3ヶ月でした。

世間からのお暇

8月に入ってから、次の仕事も探さなきゃいけないけどちょっと体が休もうと言っているそんな気がして、1ヶ月お暇することにしました。

起きて顔を洗ってゆっくり朝食を食べる朝。

あぁもうあの満員電車に乗らなくてもいい
上司からの理不尽な要求を聞かなくてもいい
先輩とノルマの奪い合いをしなくてもいい
怒られなくてもいい………

色々な嫌だったことが全部自分から離れていって辛くない朝に泣けてきました。

大学生の時、何か夢中になるものを始めたくておじいさんのアコースティックギターを母の実家から引っ張り出してきました。

でもそれ以来、就活、仕事で忙しくなって全然やってなかったギター。もう一回挑戦。

その時、弾いたのが

「ギルド」

BUMP OF CHICKENの曲でした。

BUMP OF CHICKEN「ギルド」

自分はいらない人間だと思っていた

ホテルでは失敗ばかりでした。

次から次へと降ってくるタスク。

その日に予約された紙を順番に並べる
当日分を部屋のボックスに入れる
朝礼をして清掃をして
自動販売機の補充、備品の補充
鍵の管理、荷物の管理
チェックインアウト
クリーニング受付

ちょっと長くなりそうなのでここまでに
したいけど、もっともっとあります。
もう数え切れないタスクに追われていました。

接客業だから、不測の事態も起こって
(シャワー壊れて呼び出し、電話のクレームとか) 今やっていたことが中断されてしまいます。

「マルチタスクをこなさなければならない」

それに尽きる。
けど、それが全くできませんでした。

例えば、この鍵をここに入れておいてねと言われて接客で呼び出されて忘れてしまう

これはなぜだ?と深く考えすぎて、仕事が遅くなって時間内に終われない

仮眠もできた試しがなく、ヘトヘトで
頭がふらふらするので生産性も下がり
小さなミスを連発していました。

ある時、支配人に呼び出されました。

「なんであなたはできないの?同期はもう独り立ちしてるのにまだ先輩に付き添ってもらってるよね」

「どうしてできないかわかる?」

「いつも「がんばります!」って言うだけじゃない。給料泥棒!」

そう、言われました。

あーがんばってないんだ。そう映るんだな。我慢できずにその人の前で泣きました。自分が恥ずかしくて悔しくて憎かった。

それが入社して2ヶ月目のこと。

それからはお客さんの前で笑って
トイレの鏡の前でいつも泣いていました。

できない自分は落ちこぼれなんだ。
努力が足りないんだ。

そう自分を責めてばかりいました。

それでも呼吸が続くことは許されるだろうか

自分の価値を完全に見失っていたので
当然自信のかけらもなく、接客の声も
小さくなり、怒られて萎縮して…の繰り返しで居場所を失っていきました。

先輩に音声を録音されて、声全然聞こえない!やり直し!と言われたときには震えました。

今すぐ帰りたい…

いつもいつも思っていました。
自分がここにいていいんだろうか。
息が苦しくなる。今ここで笑っている自分って誰?

心と身体は疲れ切っていました。

世界は自分のもんだ

辞めた時、
やっぱり辛くても3年くらいは続けるべきだったのかな
とか
3ヶ月で辞めた意気地なし、って言われて馬鹿にされてるだろうな。嫌だな。

結局、自分ではなく他人の評価を気にする自分がいました。

でも
辞めたのは変わりなくて、次の日から
辛かった日々は終わっていました。

あの人もあの人もあの人も
もう関係ない人なんだ。

ギターを鳴らしてみました。

「汚れたって受け止めろ。世界は自分のもんだ」

そのフレーズに差し掛かったとき
ぼろぼろと涙があふれてきました。

自分のたくさんだめなところを見てきたから心も廃れて汚れてた毎日。

でも

自分の人生なんだ
自分で決めてもいいんだ
「辞める」その選択は間違ってないぞ。

そう思うことができました。

今思うこと

今、改めて思うのは「環境」や「仕事内容」が自分にただ合っていなかっただけだということです。

そして
・マルチタスクが不得意
・深く考えて仕事が遅くなる
・怒られて萎縮する
・ピリピリとした競争環境が辛い
・接客が長くなる(話を聞きすぎる)

などなど、今思うとこれはHSPゆえだな
と思うことがたくさんありました。

自分の努力が足りなくて、がんばっていない役立たずではなく活躍できるふさわしい場所じゃなかっただけってこと。

それに気づくことができただけで
とても心が軽くなり汚点だと思っていた自分の過去を認められこんなこともあったねーって笑えるようになりました。大きな進歩です。

それは、かつて
鏡の前で誰にも気づかれずに泣いていた自分に伝えたいことです。

今、仕事で辛くて逃げ出したくて
でも止められなくてどうしようもなく
自己肯定感がなくなっている人へも伝えたい。

「大丈夫、世界は自分のもんだ」って。

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